雇用統計通過後のニアピンの値動きと短期投資法 2015/11/11



 日本時間6日夜間に発表された米国雇用統計が市場予想を上回る強い内容となったことを受け、米ドル対円相場が上昇し日経平均先物も大きく上昇しました。4日のeワラント取引終了時点の日経平均参照原資産価格が19,022.5円だったのに対し6日のeワラント取引終了時点では19,442.5円となり、2日間で400円超上昇しました。eワラントメールマガジン2015年11月10日号の「とらたぬランキング」では日経平均を対象原資産とするニアピンが上昇率1位となりましたが、上昇率1位になったのは11月18日満期のピン価格20,000円のニアピンです。6日の参照原資産価格により近いピン価格19,500円の日経ニアピンではなく、ピン価格が参照原資産価格に近い銘柄よりも若干高めの銘柄の方が上昇しています。

 なぜこうなったのか、この謎を4日から6日の日経平均ニアピンの価格変動をピン価格と満期日の違いから考えてみたいと思います。

 この図は4日と6日の日経平均ニアピンの買取価格終値の変動率をまとめたものです。日経平均の参照原資産価格に最も近かったピン価格を薄い青色で示しています。

図1

 この図から気づくこととして、次のようなことが挙げられるかと思います。
 ①12月満期より11月満期という具合に、満期までの期間が短い銘柄の方が比較的値動きが大きい。
 ②11月満期のピン価格13,000円台など、満期までの期間が短くピン価格が相場水準から離れすぎている銘柄は相場変動に反応していない。
 ③11月満期の上昇率トップはピン価格20,500円だが、12月満期の上昇率トップは21,750円であり相場水準に近い19,500円でも11月満期の上昇率トップのピン価格20,500円でもない。

 ①~③のそれぞれの理由は次の通りです。

 ①満期までの残りの期間が短くなるほど満期参照原資産価格の予想がしやすくなります。そのため、満期受取金が発生する可能性の高いピン価格の銘柄の価格は高く、可能性の低い銘柄の価格は低くなります。満期日前に相場が急変すると、それまで満期受取金が発生する可能性が低かった銘柄に満期受取金発生の可能性が出てくるため価格が急騰することになります。今回の事例では日経平均が19,000円ほどだった水準から一気に19,500円近くに上昇したことで満期受取金発生の可能性が低かったピン価格20,000円以上の銘柄の満期受取金発生の可能性が高まったわけです。ただし、ピン価格21,000円の銘柄はピン価格20,000円の銘柄ほど上昇していません。満期日までの残りの期間を考慮すると21,000円はちょっとハードルが高いということです。

 ②ピン価格が相場水準から離れているほど、満期日までの残りの期間が短くなるほど満期受取金発生の可能性は低くなります。11月18日に日経平均13,000円台というのは可能性はゼロではありませんが限りなくゼロに近いため、今回の値動きをもってしても価格への影響は軽微だったということでしょう。ちなみに日経平均株価の1日の変動幅歴代1位は-3836.48円(1987年10月20日)ですので、19,000円台から13,000円台に下落するには歴代変動第1位の下落が1回以上起こらないといけないわけです。

 ③満期までの残りの期間が11月満期の銘柄と異なるためです。4日の時点で将来日経平均が20,000円を超える可能性を考えてみますと、同じ未来でも残り1ヵ月を切っている11月18日よりも1ヵ月以上先の12月9日の方が時間が長い分、可能性が高いわけです。そのため12月満期のピン価格20,000円~21,250円あたりの銘柄の価格には4日の時点でこの可能性がある程度織り込まれています。しかしながら21,500円を超えてくる可能性まではあまり織り込まれておらず、今回の日経平均上昇で可能性をより織り込むことになったために上昇が目立つ格好になったと考えられます。

以上からニアピンを用いた短期投資を考えるのであれば、満期日までの残りの期間とピン価格の水準のバランスを考慮することが大切になるでしょう。対象原資産の日経平均(日経ニアピンに投資する場合)又は米ドル対円相場(米ドルニアピンに投資する場合)の急変を前提に、満期日までの期間が比較的短く、ピン価格が想定する急変後の対象原資産の水準よりも若干離れた銘柄を狙うことになります。

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(eワラント証券)
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