レバレッジトラッカーの特徴と銘柄の選び方 2017/10/24



 例えば日経平均プラス5倍やマイナス3倍など、権利行使価格が複数あるレバレッジトラッカーの場合、どの銘柄を選べばよいか迷われる方も多いかもしれません。この疑問を解消するためには、まずはレバレッジトラッカーの特徴について正しく理解することが必要です。

特徴① レバレッジトラッカーの値動きは原資産の変動幅のプラス5倍とマイナス3倍

 レバレッジトラッカーは、買取価格が対象原資産の変動幅に1ワラント当たり原資産数を乗じた額のプラス5倍またはマイナス3倍にほぼ連動するトラッカーです。例えば日経平均が200円上昇した場合、日経平均 プラス5倍トラッカーを1,000ワラント保有している方の評価額はおよそ1,000円上昇することになります。
 言い換えると、同じ原資産のプラス5倍トラッカー同士又はマイナス3倍トラッカー同士であれば、同数量保有していた際の変動する評価額は同じということになります(ただし自動ロスカット実行済みの場合を除く)。そのため、実質的なレバレッジ効果は単価の安い銘柄のほうが高くなります。

特徴② 満期決済金額

 レバレッジトラッカーの満期日における決済金額の計算方法は次のとおりです。

  • プラス5倍トラッカー: (7円 + 5 × (満期参照原資産価格 - 権利行使価格) ×1ワラント当たり原資産数) × 保有ワラント数
  • マイナス3倍トラッカー:(5円 + (-3) × (満期参照原資産価格 - 権利行使価格) ×1ワラント当たり原資産数) × 保有ワラント数

 プラス5倍トラッカーの場合、満期参照原資産価格が権利行使価格を下回っていたとしても、7円というバッファーがありますので、“5 × (満期参照原資産価格 - 権利行使価格) ×1ワラント当たり原資産数”が7円を超えない限り(=満期参照原資産価格が権利行使価格を大幅に下回らない限り)、満期決済金額が0になることはありません。

特徴③ 自動ロスカット

 レバレッジトラッカーにもデメリットがあります。取引期間中において買取価格が一度でも1円を下回った場合、自動ロスカットにより1円以下での固定価格による買取のみとなります。また、その場合、1ワラントあたり満期決済金額は満期参照原資産価格に関わらず、1円以下の固定価格となります(なお、自動ロスカットが実行される前段階として、買取価格が2円を下回った場合は、原則として、販売を停止して買取のみを受け付けます)。

 特徴②③から、プラス5倍トラッカーの場合は権利行使価格が低いほど、マイナス3倍トラッカーの場合は権利行使価格が高いほど、自動ロスカットにはなりにくい、と言えます。

 以上の点を考慮すると、以下のような観点で銘柄を選ぶことができます。

  • 相対的に高いレバレッジを求める場合:権利行使価格の高いプラス5倍トラッカー又は権利行使価格の低いマイナス3倍トラッカー
  • 自動ロスカットのリスクを低減する場合:権利行使価格の低いプラス5倍トラッカー又は権利行使価格の高いマイナス3倍トラッカー

(eワラント証券)
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