イベントで相場の大変動を予想するなら 2018/06/05



 来週6月12日にはいよいよ米朝首脳会談の開催が予定されています。本会談は度々日本市場に影響を与えてきた北朝鮮の核開発問題が主要議題となる見込みで、その行方には大きな注目が集まりそうです。また、同12~13日に米国、14日にEU、14~15日に日本で金融政策決定会合が予定されています。金融政策の正常化を進めるFRB、緩和縮小の検討を始めたECB、金融緩和維持を続ける日銀と姿勢の異なる各中央銀行の政策にどのような変化があるかには注目しておいたほうが良いでしょう。

 このような政治・経済イベントの際には、その結果次第で市場の価格変動(ボラティリティ)が大きくなる可能性があります。ただし、その結果を受けて市場がどのような反応(上昇?下落?)をするか事前に予測するのは難しいと言えるでしょう。どちらに動くかは分からないけれど、大きく動くことを想定するのであれば、eワラント(コール・プット)の両建て戦略が有効となる可能性があります。盛り沢山のイベントが控えている来週を前に、その戦略を振り返ります。

 この両建て戦略は、上下問わず相場が大きく動くことを投資機会にすることができるものです。具体的には同じ原資産を対象とするコールとプットを両建てします。ポジションを組む際には、満期までの残存日数が等しく、権利行使価格が現在の対象原資産価格に“等しい(又は近い)”コールとプット(ロングストラドル)、又は権利行使価格が現在の相場水準から“同程度離れた” コールとプット(ロングストラングル)を選ぶのがポイントとなります。銘柄を選ぶ際には、前回のコラムでご紹介したオプションチェインを使うと視覚的に選びやすいかもしれません。

 eワラントは損失が購入金額までに限定されている一方で、利益は無限大*となる可能性があります。そのため、コールとプットのうち、仮に一方が0となっても、他方が2倍以上に動けば値下がり部分を値上がり部分で相殺し、さらに利益が得られるという投資戦略です。実際には、満期まではeワラント価格が0となることはありませんので、一方が2倍に達せずとも、相場がどちらかに大きく動けば利益を得られる可能性があります。
*プットの場合は原資産が0となった場合が理論上の上限となります。

 ただし、両建ては相場がどちらかに大きく動く事に対して投資を行う手法なので、予想に反して相場があまり動かなかった場合や、決済前に元の水準に相場が戻ってしまった場合はコール・プット双方とも値上がりせず、損失となる可能性がありますのでご注意ください。また、利益が出なかったからといって保有したままにしておいてしまうと、時間的価値の減少でさらに損失が拡大する可能性があるため、イベント終了後には一旦手仕舞い売りをすることもご検討ください。

(eワラント証券)
* 本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本情報に基づいて被ったいかなる損害についても、eワラント証券は一切責任を負いません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。