ニアピンの応用例2 2017/03/28



 ニアピンとは、将来の相場がいくらになるかを予想する投資商品です。あらかじめ決められた“ピン価格”をもつ銘柄を購入し、対象原資産(米ドル対円相場または日経平均)価格がそのピン価格に近づいてくればニアピンの価格が上昇します。ニアピンは数日から数週間で大きく価格が動くことがある商品なので、スプレッドの大きさもあいまって、デイトレード(日計り取引)よりも、1週間~数ヶ月間保有して自分が購入したピン価格に対象原資産価格が近づいてくるのを待ち伏せするスタイルが向いています。

 この特長を活かして、相場の大変動を投資機会とする投資法がニアピン両端待ち戦略です。現在の日経平均または米ドル対円相場よりも離れたピン価格を持つニアピンを上下それぞれ1銘柄づつ購入し、相場が大きく動くタイミングを待つという投資戦略です。

 日経平均を対象としたニアピンを例に挙げますと、満期までに日経平均が1,000円程度上昇または下落するかもしれないと考えるのであれば、購入時点での日経平均株価よりピン価格が1,000円高いニアピンと1,000円低いニアピンをそれぞれ購入します。数日~数週間後に想定どおり相場が大きく動いて待ち伏せしていたどちらかのピン価格と重なったら一方のニアピンの価格は上昇し、もう一方のニアピンは下落します。ニアピンは値動きが非常に大きいため、上昇した銘柄で得られる利益は、下落した銘柄の損失を相殺しても収支はプラスとなることもあります。収支がプラスとなった際には、上下のニアピンを両方とも売却して利益を確定させてしまうのが原則です。

 ただし、この投資法では、1.日経平均があまり動かなかった、2.動いたけど日経平均が購入したピン価格から遠いままだった、3.動いたけど利食いをしないまま元の水準に戻ってきてしまった、4.動きすぎて利食いをしないままピン価格を通りすぎてしまった、などの場合には損失を抱えてしまうリスクがあります。特に満期日時点で、日経平均株価が購入したニアピンのピン価格から250円以上ずれた場合、投資した金額を全額失ってしまいます。そのため、この戦略を採る場合は満期保有を前提とはせずに、対象原資産の相場を適宜ウォッチしながら利益が確定した時点で売却してしまったほうが良いでしょう。

(eワラント証券)
* 本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本情報に基づいて被ったいかなる損害についても、eワラント証券は一切責任を負いません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。