2017年は欧州選挙の年!今後の政治イベントをチェック! 2016/12/05



 今年の相場を語る上で外すことができないのは、英国の国民投票でEU離脱を決定したことや、米国の大統領選挙でトランプ氏が勝利したことです。選挙という政治イベントが金融市場に与える影響は無視できないものになってきています。2017年には欧州を中心に選挙が数多く実施され、EU中心国のドイツとフランスでも総選挙が行われます。一足先に重要イベントを予習しておきましょう。

■今後の主な政治日程

 本年12月と来年以降の主な政治日程は下表の通りです。主要各国の金融政策に関する政策会合の日程は各種経済カレンダーを見ることで比較的容易に把握できますが、政治日程に関しては日程が未確定となっている部分もあるため、今後変更されることがあるかもしれません。海外の政治ニュースを注視して、日程の変更などを押えておきましょう。以下に特に重要と考えられる政治イベントについて概要をまとめました。

2016年
12月 プーチン大統領来日(15日)
2017年
1月 トランプ氏大統領就任(20日)
英国最高裁、EU離脱の議会承認判断
3月 米国債務上限問題の期限到来(15日)
オランダ総選挙
香港特別行政区行政長官選挙
3月まで 英国リスボン条約第50条発動
4月 フランス大統領選挙
5月 イラン大統領選挙
G7サミット(イタリア)
6月 フランス国民議会選挙
7月 G20サミット(ドイツ)
10月まで ドイツ連邦議会選挙
2018年
5月 イタリア総選挙

■主要イベントの注目どころ

2016年12月15日 プーチン大統領来日
自民党政権にとっての米国大統領選挙以前のシナリオは、米国との関係改善を図りたいロシアに対して、日米同盟を後ろ盾に北方領土交渉で譲歩させ、北方領土交渉の前進をもって解散総選挙に臨み、圧倒的多数の議席を取って憲法改正へ、というものだったかもしれません。しかしながら、米国大統領選挙でトランプ氏が勝利したことをきっかけに米ロが接近していることや、日本と経済交渉を進めていたウリュカエフ経済発展相が突然解任されたこと、ロシアが新型ミサイルを北方領土に配備したことから、北方領土交渉は進展しないものと見られます。年始には解散総選挙があるかもしれないという見方もありましたが、シナリオの見直しが必要となる状況になっていると考えられます。

2017年1月 英国最高裁、EU離脱の議会承認判断
11月3日に英国の高等法院がEU離脱に関して議会の承認が必要との判決を下してから、下落を続けていた英ポンド対円相場は反転基調にあります。英国政府は上訴しましたが、報道によると英国最高裁は12月5日から審理に入り、結果を年明けに発表するとのことです。一方でメイ首相は2017年3月末までにリスボン条約第50条を発動し、EU離脱のプロセスを開始すると表明しています。このイベントは日程が明確に決まっていないので、特にBBCなど英国発のニュースには注意しておきたいところです。

2017年3月 オランダ総選挙
欧州で始まる総選挙の先陣となる点で注目です。極右政党の自由党(PVV)の支持率が高まっており、政権与党の自由民主国民党(VVD)と並ぶ勢いとなっています。自由党(PVV)党首のウィルダース氏は首相になればオランダでEU離脱を問う国民投票を実施すると主張しています。自由民主国民党(VVD)は労働党(PvdA)と連立を組んでいるため、自由党(PVV)の大躍進がない限り政権交代は難しいと考えられますが、世論調査会社によって政党支持率にばらつきがあるため、結果を見るまでは不透明感が残るでしょう。

2017年3月15日 米国債務上限の期限到来
2015年に米国が債務不履行(デフォルト)するかもしれない、という債務上限問題が発生しましたが、当時は期限付きの債務上限の引き上げを盛り込んだ予算法案が可決されました。その期限が2017年3月15日までとされており、トランプ大統領下でこの問題が再燃するかもしれません。デフォルト懸念で米国債が売られる状況となると、債券運用者が米ドルを売却して安全資産として日本円や円債を買う動きを伴うかもしれません。加えて、米国債を多く保有している中国や日本との関係において、トランプ氏が中国や日本を敵視したり、通商交渉における交渉カードとして、トランプ氏が意図的に一部デフォルトを引き起こすリスクもあるかもしれません。

2017年4月 フランス大統領選挙
フランスの大統領選挙においては、第1回投票で有効投票総数の過半数の票を獲得できない場合には、2週間後に上位2候補による決選投票が行われます。11月27日の中道・右派の候補者予備選挙でフィヨン元首相が候補者となりました。大統領選挙は第1回投票でフィヨン氏、反EUを掲げる極右政党、国民戦線のマリー・ル・ペン党首、現職のオランド大統領が属する中道・左派の候補者の戦いになると見られますが、世論調査の動向を見る限りフィヨン氏かル・ペン氏の決選投票になると見られます。第2回投票で中道・左派の支持票がどちらの候補に流れるかがポイントですが、中道・左派の票がル・ペン氏に流れるとは思えず、フィヨン氏による中道・右派の政権となるでしょう。

2017年5月 イラン大統領選挙
現職の穏健派ロウハニ大統領が2期目を目指すものと見られます。ただし、経済制裁を解除/停止した米国が政策変更を行い、再びイランに対して経済制裁が発動されるとロウハニ大統領に代わって強硬派の大統領となり、中東の地政学的リスクを高めることになるかもしれません。イランでは最高指導者ハメネイ師の許可がないと大統領選挙に出馬できないので、トランプ次期大統領に対するハメネイ師の動向に注目です。なお、イランとの貿易で経済制裁の解除/停止後にシェアを伸ばしたのは中国です。米国がイランへの抑圧的な政策を採ろうとすると中国が反対に回る可能性は高いと言えるでしょう。

2017年6月 フランス国民議会選挙
2012年の選挙ではオランド氏が率いる中道・左派勢力が過半数を確保しましたが、2017年の国民議会選挙では中道・右派勢力が単独過半数を取れるかがポイントとなるでしょう。国民戦線も議席数を伸ばすと見られ、いわゆるキャスティングボードを握る勢力となるかもしれません。

2017年10月まで ドイツ連邦議会選挙
メルケル首相率いるCDU(キリスト教民主同盟)は支持率が低下傾向とはいえ、CSU(キリスト教社会同盟)と合わせて3割以上の支持率を維持しており、第1党を維持すると見られます。第2党はSPD(社会民主党)ですが、2割強の支持率で安定推移しています。ただし、ドイツでも難民の受け入れに反対する政党、AfD(ドイツのための選択肢)の支持率は上昇傾向にあり2割目前となっています。選挙まで時間があることがかえってAfDの支持率上昇に拍車をかけることにつながるかもしれず、6月から7月にはSPDに代わる第2党に、10月にはCDU/CSUと支持率で互角となる可能性もあります。AfDが政権与党となるとEUの存続はいよいよ危ないものとなるでしょう。

■イベント投資ならeワラント

 日程が決まっている重要な政治日程は相場が急変動する可能性が高いリスクイベントとして事前に準備することができます。現物株やFXでリスクイベントに臨む場合、相場の方向性を正しく予想することが必要になります。しかしながら、特にFXなど証拠金を担保にして行う取引においては、相場観が外れるとリスクイベントの発生で追加の証拠金の入金が求められたり、強制的にポジションが決済されてしまうことがあります。この点、証拠金取引ではないeワラントはリスクイベントに向いている投資ツールといえます。特に対象となっている原資産が短期間で大きく動くときほど、eワラントの価格が大きく動くことが期待されます。

 上記イベントにおいては、相場が急騰することも急落することもありえますので、例えばコール型eワラントとプット型eワラントに両方とも等金額投資して、相場がどちらかに大きく動きさえすればよい、という両建て戦略もできるでしょう。この両建て戦略はオプション戦略でいうストラドルの買いというものです。為替相場や株価指数を対象とするeワラントで、権利行使価格がイベント前の相場水準に近いコール型eワラントとプット型eワラントで、かつ、満期日までの期間が短い銘柄を選択するのがポイントになります。相場が大きく動けば両建てしたうちの片方の上昇がもう片方の下落を相殺することになりますので、トータルでみれば数%程度の収益を見込むことができますが、相場が大きく動かない場合には損失となりますのでこの点には注意が必要です。

(eワラント証券 投資情報室長 小野田 慎)
※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。