2017年の注目テーマ 2017/01/10



 2017年は米国で新政権が誕生することや欧州で重要な選挙が続くなど、不確実性が高まる年となりそうですが、中長期的に有望な分野には資金が向かうと見られます。有望な分野として本稿で取り上げているのはサイバーセキュリティ、自動運転、無人化技術です。これらは近年すでに話題となっているテーマであり、目新しいものとは言えませんが、これらのインターネット検索数は増え続けており2017年においてもトレンドワードとして相場の材料になる可能性が高い分野だと考えられます。

■サイバーセキュリティ

 情報技術のさらなる高度化により、国家の安全保障上の問題や、企業の機密情報や顧客情報の漏洩などのリスクは常に存在します。サイバーセキュリティは景気動向に関係なく需要が見込める分野であり、投資の面からは有望な分野のひとつと考えられます。この分野においては様々なサイバー攻撃に対応してきた米国やイスラエルの企業に実績があります。日本企業は国内の販売のパートナーとして提携しているため、国内におけるサイバーセキュリティの需要を享受できるでしょう。

シマンテック(SYMC)
米国に本社を置く、コンピューターウイルス対策ソフトウエア最大手。日本ではサイバネットシステム(4312)、伊藤忠テクノソリューションズ(4739)、日立製作所(6501)、NEC(6701)、富士通(6702)、ネットワンシステムズ(7518)、NTTデータ(9613)などと販売提携。

チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ(CHKP)
イスラエルに本社を置き、セキュリティー対策のソフトウェア・ハードウェアを開発。ネットワークセキュリティ機器市場では、世界最大手のひとつ。日本では伊藤忠テクノソリューションズ(4739)、日立製作所(6501)、NEC(6701)、ネットワンシステムズ(7518)などと販売提携。

パロアルトネットワークス(PANW)
米国に本社を置き、ネットワークセキュリティサービスを提供。次世代型ファイヤーウォールの先駆者として高評価。日本では伊藤忠テクノソリューションズ(4739)、日立製作所(6501)、ネットワンシステムズ(7518)、大日本印刷(7912)、SCSK(9719)などと販売提携。

フォーティネット(FTNT)
米国に本社を置くネットワークセキュリティ機器市場における世界大手。次世代ファイヤーウォールや統合脅威管理の機器を提供。日本では新日鉄住金ソリューションズ(2327)、伊藤忠テクノソリューションズ(4739)、日立製作所(6501)、NEC(6701)、SCSK(9719)などと販売提携。

プルーフポイント(PFPT)
米国に本社を置き、メールやソーシャルメディア、モバイルアプリなどを介して配信される先進的攻撃からユーザーを守るサービスを提供。日本では双日(2768)、野村総研(4307)、NEC(6701)、シーイーシー(9692)、NSD(9759)などと販売提携。

ファイア・アイ(FEYE)
米国に本社を置くネットワークセキュリティサービス提供会社で、最新の攻撃から防御する適応型防御によりサイバー攻撃の検知、対処、脅威からの保護を支援。NATO(北大西洋条約機構)とサイバーセキュリティの情報共有に関する産業パートナーシップ協定。日立製作所(6501)、富士通(6702)、NTT(9432)、関西電力(9503)などと販売提携。

■自動運転

 高齢者による事故が表面化したことで、今年の3月から認知症のおそれがある高齢運転者に医師の診断を義務付けるなど、認知症対策を強化した改正道路交通法を施行される見通しとなりました。現状では完全自動走行までいかないまでも、運転支援技術の早期導入が期待されるところです。運転支援技術に関する装備が義務付けられることがあれば、開発メーカーの収益へのインパクトも期待できるでしょう。自動運転技術には車載カメラやレーダー、動作を制御するためのコンピューターやモーター、さらには人工知能や拡張現実まで幅広い分野の技術が関係します。また、昨年から自動運転技術を巡って大手企業が提携する動きが加速しており、今年も相場の材料になりそうです。

コンチネンタル(CONG)
独の大手自動車部品メーカーで、カメラとレーダーを駆使した自動運転技術で先行。トヨタ(7203)をはじめ、世界中の完成車メーカーが同社のセンサー類を採用。拡張現実技術を持つDigiLens社と提携し、フロントガラスに死角に入っているバイクや歩行者などを表示する技術の導入も目指す。

モービルアイ(MBLY)
モービルアイはカメラ映像による車の衝突の危険性を分析・抑止する衝突防止補助システムの製造・販売を手掛ける。車載向け人工知能にも強み。同社は米国の大手自動車部品メーカー、デルファイ・オートモーティブ(DLPH)と提携。デルファイ社の自動車部品の搭載された自動運転車は全米横断(約5,500km)のテスト走行に成功。

アルファベット(GOOG)
グーグルの持株会社。自動運転車のソフトウェアやシステムの開発を手掛けている。技術力に加えて、自動運転車に必要な地図データを保有。自動運転技術を専門とする新企業ウェイモを立ち上げた。ホンダ(7267)はウェイモとの連携を交渉。

エヌビディア(NVDA)
米国の大手半導体メーカー。ビジュアルコンピューティングを応用して、人工知能を採用した自動運転の制御方式を開発。全車両に完全自動運転機能を搭載すると発表したテスラモーターズ(TSLA)は、自動運転機能に必要な車載向けハードウェアとしてエヌビディアのプラットフォームを採用。

ヴァレオ(VLOF)
仏が拠点の自動車関連システムおよび部品の研究開発・製造・販売会社。同社開発の自動運転車が仏国内一周、米国一周に成功し、欧州一周に挑戦。

日本電産(6594)
精密小型モータ、車載及び家電・商業・産業用製品、機器装置、電子・光学部品等の製造・販売を手掛ける。車載用のモーターなどの自動車部品の収益拡大を成長ドライバーと捉えている。

デンソー(6902)
トヨタ自動車グループ最大の自動車部品メーカー。コンチネンタル(CONG)と競合。運転支援システムに関してはトヨタ以外のメーカーへの販売も視野に入れている。

イリソ電子工業(6908)
車載用途のコネクターが主力製品。運転支援システムが自動車に搭載されることで、コネクター使用量の増加が期待される。

日本セラミック(6929)
自動運転技術においては、事故防止のために利用される赤外線センサーや、超音波センサーで世界的なシェアをもつ。

■無人化技術

 厚生労働省の人口動態統計の年間推計で2016年の日本の出生数が100万人に届かないことがわかりました。人口の減少により将来の労働者人口も減るでしょうし、すでに人手不足が発生している職種もあります。不足する労働者に対してロボットを導入するなどという事例は、製造業だけでなく小売業にも出てきています。無人化技術の分野は、世界中のサイバー攻撃のデータ解析が必要なサイバーセキュリティの分野や国内での公道実験の事例が少ない自動運転の分野と比較して、日本企業が海外勢よりも先行できる分野と言えるでしょう。また、ロボット製造、メンテナンスを手掛ける企業の注目は増していくでしょう。

セルフレジ:東芝テック(6588)、富士通フロンテック(6945)
アマゾン・ドット・コム(AMZN)がレジでの決済をせずに顧客が商品を持ち帰ることができるレジのない小売店舗「Amazon Go」を発表しましたが、実現するのはもう少し先かもしれません。とはいえ、レジ人員の不足から国内では顧客がバーコードをスキャンして精算するセルフレジの導入は進んでいます。セルフレジ最大手の寺岡精工は非上場ですが、東芝テック(6588)や富士通フロンテック(6945)などがセルフレジを販売しています。またローソン(2651)とパナソニック(6752)がセルフレジの実証実験を開始する予定です。

倉庫の自動化:日本電産(6954)、明電舎(6508)、IHI(7013)、ダイフク(6383)、西部電機(6144)
オンラインショッピングの増加に対して物流倉庫においては、効率化と精度が求められています。労働人口の減少に対して物流量は増えているため、無人化技術の導入が急がれる分野といえるでしょう。無人搬送台車は日本電産(6954)の子会社の日本電産シンポや明電舎(6508)、IHI(7013)などが製造しており、上場が待たれるZMPは従来型の無人搬送台車にロボット技術を適用した自律移動型の台車ロボットを開発しています。また、国土が狭い日本においては、高層ラックを備え、倉庫内の作業を自動化する立体自動倉庫の需要が増すかもしれません。立体自動倉庫はダイフク(6383)、IHI(7013)、西部電機(6144)などが手掛けています。

産業用ロボット:ファナック(6954)、安川電機(6506)
トランプ氏は米国に雇用を回帰させるといった発言をしていましたが、賃金が高くて生産性が必ずしも良いとはいえない労働者を米国企業が雇うかどうかは判断が難しいところです。中国においても労働者の賃金が上昇しているため、労働者に代わるものとして米中で産業用ロボットの需要が拡大するかもしれません。最大手のファナック(6954)はエヌビディア(NVDA)や日立製作所(6501)と提携し、人工知能を活用してロボットが自立的に作業を学ぶ工場の自動化を進めています。

(eワラント証券 投資情報室長 小野田 慎)
※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。