為替のポジションにeワラントで保険をかける 2017/01/04



 2016年11月の米ドル対円相場は大幅な円安となり、その値幅は13円を超えました。2015年後半から米ドル対円相場の変動幅は拡大傾向にあります。大幅な円安が発生するなら大幅な円高が発生してもおかしくはありません。このようなボラティリティの高い相場環境において、保有している外貨のポジションを円高による下落リスクから守るのにeワラントを活用することができます。

■米ドル対円相場の値幅が拡大傾向に

 図1は2010年から2016年までの米ドル対円相場の月間値幅の推移です(2016年は12月26日までのデータ)。2015年後半から米ドル対円相場の値幅が拡大傾向にあることがわかります。これは米国において量的緩和の縮小が始まったタイミングであり、また、米国において政策金利の上昇、いわゆる利上げが市場に意識されるようになったタイミングです。2015年以降、1ヵ月の間に米ドル対円相場が8円以上動いた月は図1にあるように4回もあり、2010年から2014年までの平均月間値幅は3.8円だったのに対して2015年から2016年までの平均月間値幅は5.6円にまで拡大しています。

表1:米ドル対円相場の月間値幅の推移

 2017年は米国の政策金利の上昇ピッチが早まるものと見られており、これに伴って米ドル対円相場の変動幅も上下に大きくなることが予想されます。

■eワラントで為替変動をヘッジするには

 海外株式の売買のために外貨のポジションを保有している場合や、FX取引によって外貨の買いポジションを保有している場合にプット型eワラントを掛け捨ての保険のように活用することで、円高・外貨安のリスクをヘッジすることができます。具体的にどれだけの数量のプット型eワラントを買い付けすればよいかと言うと、次の式で求められる数量分あればよいことになります。FX取引の場合は取引保証金に目が行きがちですが、どれほどの外貨を保有しているのか確認しましょう。

ヘッジに必要な数量=保有している外貨の数量÷1ワラント当たりの原資産数

 2016年末において、プット型eワラントを購入できる通貨としては米ドル、ユーロ、カナダドル、英ポンド、豪ドル、NZドル、南アフリカランドがあります(いずれも為替リンク債が実際の原資産です)が、1ワラント当たりの原資産数が1ではないのは南アフリカランドだけ(1ワラント当たりの原資産数は10)ですので、保有通貨分のプット型eワラントを買付すればよいことになります。例えば、米ドルを15,000単位保有している場合、米ドルリンク債を対象とするプット型eワラントは15,000ワラント買付すればヘッジをかけることができます。

■ヘッジの例

 例えば、米ドル対円相場が現在117.50円で、108円のときに米ドルを15,000通貨で買付けて保有しているものとします。このまま継続保有したいけれども円高のリスクに備えたいので米ドル対円相場が117円を下回る部分に保険を掛けたいとします。なお、外貨取得に生じた手数料は考慮していません。

<前提>
対象通貨:米ドル
現在の相場:117.50円
買付単価:108円
保有数量:15,000通貨

 米ドル対円相場が117円を下回る部分について保険を掛けたい場合は、権利行使価格117円のプット型eワラントを購入して満期日まで保有します。例えば、米ドルプット678回という銘柄は権利行使価格117円、満期日が2017年2月8日です。このプット型eワラントを買い持ちすることで、2017年2月8日において米ドル対円相場が117円を下回る部分に保険を掛けることができます。

<プット型eワラント銘柄概要(2016年12月22日12:43時点)>
売気配値(お客様が買付できる単価):3.00円※1
満期日:2017年2月8日
権利行使価格:117円
1ワラント当たりの原資産数:1※2
対象通貨に対して必要な買付数量:15,000ワラント※3
買付金額:45,000円

※1 eワラントの価格(気配値)は市場動向によって変化します。
※2 全てのeワラントに予め定められている小口化のための係数です。
※3 必要な買付数量=保有外貨数量(15,000)÷1ワラント当たりの原資産数(1)

 保有外貨の全てに保険をかけるのであれば上記の式にあるように15,000ワラント必要となります。eワラントの満期日の2017年2月8日はこの保険の満期日とも言え、相場水準ごとの損益と保険によるヘッジ効果は表1及び図2のとおりとなります。

表1:プット型eワラントによるヘッジ効果(単位:円)
満期日の相場 外貨評価額 外貨評価損益(A) eワラント
満期決済単価
eワラント
満期決済額
eワラント
満期決済損益(B)
合計損益=(A)+(B)
104 1,560,000 -60,000 13.00 195,000 150,000 90,000
105 1,575,000 -45,000 12.00 180,000 135,000 90,000
106 1,590,000 -30,000 11.00 165,000 120,000 90,000
107 1,605,000 -15,000 10.00 150,000 105,000 90,000
108 1,620,000 0 9.00 135,000 90,000 90,000
109 1,635,000 15,000 8.00 120,000 75,000 90,000
110 1,650,000 30,000 7.00 105,000 60,000 90,000
111 1,665,000 45,000 6.00 90,000 45,000 90,000
112 1,680,000 60,000 5.00 75,000 30,000 90,000
113 1,695,000 75,000 4.00 60,000 15,000 90,000
114 1,710,000 90,000 3.00 45,000 0 90,000
115 1,725,000 105,000 2.00 30,000 -15,000 90,000
116 1,740,000 120,000 1.00 15,000 -30,000 90,000
117 1,755,000 135,000 0.00 0 -45,000 90,000
118 1,770,000 150,000 0.00 0 -45,000 105,000
119 1,785,000 165,000 0.00 0 -45,000 120,000
120 1,800,000 180,000 0.00 0 -45,000 135,000
121 1,815,000 195,000 0.00 0 -45,000 150,000
122 1,830,000 210,000 0.00 0 -45,000 165,000
123 1,845,000 225,000 0.00 0 -45,000 180,000
124 1,860,000 240,000 0.00 0 -45,000 195,000

表2:合成ポジションの評価損益

 満期日の米ドル対円相場(満期決済に用いられるのは始値)が117円以上であった場合、合計損益(C)は当該プット型eワラントの買付金額分(45,000円)だけ目減りすることになりますが、米ドル対円相場が117円を下回るほど当該プット型eワラントの満期決済金額が大きくなるため、合計損益(C)の下限は90,000円でとどまっています。例えば、米ドル対円相場が105円となった場合には外貨ポジションの評価損益(A)は45,000円の損失ですが、eワラントの満期決済損益(B)が135,000円の利益になっているので合計すると90,000円の利益が確保されています。

 この例では当該プット型eワラントの権利行使価格は117円ですが、ヘッジをかけた方が利益が大きくなるのは米ドル対円相場が114円を下回った場合であり、権利行使価格の117円ではありません。これは買い付けるeワラントの買付金額分が保険料となるためであり、この買付金額は一般に満期日までの期間が長くなるほど大きくなります。実際の取引おいては表1のような損益表を書いて確認することが望ましいと考えられます。

 なお、この表では米ドルの購入に必要な一切の手数料は考慮されておりません。eワラントの買付手数料は無料ですが、お客様の買値と売値には売買価格差(売買スプレッド)があります。表1及び図2では当該売買価格差は考慮されています。

(eワラント証券 投資情報室長 小野田 慎)
※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。