愛があるから 2016/06/01



 先日、社会人の先輩と後輩風の男性二人の会話を耳にしました。
「お前、結婚したい?」
「はいっ、結婚したいです!」
「なんで? いろいろと面倒だし。なんかいいことあるの?」
「いやぁ、好きな人とずっと一緒にいたいじゃないですかぁ」
「お前、何言ってんだよ。愛なんてすぐに冷めるよ。それに生活していると、だんだん悪いところが目に付くもんだぜ。子育てはとてつもなく金がかかるし。それでも、何かいいことにあるの」
「ん…。やっぱり、『愛』ですかね。好きな人と一緒にいたいじゃないですかぁ」
「だから、そんなのすぐに冷めるって。お前も青いなぁ…」

 国民一人ひとりがそれぞれの損得で考えた結果、晩婚化・未婚が進み、少子化の原因となっています。「ローマ人の物語」(塩野七生著)によれば、古代ローマでも未婚が増えて少子化が進み、国家的な危機となったようです。その対策として、独身女性には独身税を課し、子供がいない夫婦は配偶者が亡くなった場合は財産の一部を没収、逆に子供が多いと優先的に公職に付くことができるといった制度がもうけられたとのこと。それらの制度によってローマ帝国の衰退が緩やかなものになったのか、あまり効果が無くて衰退を防げなかったのかは分かりません。しかし、現在でも、日本だけでなく、欧州各国、韓国、シンガポール、中国、タイでも少子化が進んでいることから、よほど強力な対策を採らないと、生活が豊かになるにつれて少子化が進むのは普遍的な事象といえそうです。

 「総人口が減っても、AIやドローンで国民は豊かになれるし、一人当たりのGDPが高いほうが国民は幸せだ」という考えもあります。しかし、一人当たりのGDPランキング上位の常連には、ルクセンブルグ、スイス、カタール、ノルウェー、マカオといった「小粒でもピリリと辛い」国々が並んでいます。日本で現時点で示されている対策を寄せ集めても、日本の総人口が増える目処は立っていません。仮に、日本が「一人当たりGDP上位国を目指すなら、AIやドローンは消費も納税もしないので、世界各国の投資家からみて有望な投資対象ではなくなります。この場合は、日本の投資家も米国、インド、フィリピン、インドネシア、サブサハラ諸国など人口が増加している国々への投資を意図的に増やしていく必要があるでしょう。

 逆に、日本政府が少子化を国家的な危機であるとの認識を強め、古代ローマのような人口対策を導入する(反対は多いと思いますが)、米国のように移民多様化ビザプログラムを導入して偏りがない帰化人口を増やす、TPP締結国民への短期観光ビザを免除して国内滞留人口を増やす、政治亡命や難民の受け入れを積極的に認めるといった対応を押し進めるのであれば、日本株全体の長期的な底上げが期待できるように思われます。

(念のため付言しますと、上記は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。)
eワラント証券 チーフ・オペレーティング・オフィサー 土居雅紹(どい まさつぐ)