世界の果て 2016/06/29



 昔の人にとって、自分たちの知っている範囲が世界の全てで、その周りは想像の世界でした(知らないのだから当然です)。西洋人がやってくる前は、日本人にとっての世界とは日本・唐(中国)・天竺(インド)だけだったようですし、その西洋人にとっても長い間アフリカは北アフリカだけで、その先は暑すぎて海が蒸発していると考えられていたようです。

 そんな当時のどこかの国の酒場で、「世界の果て」がどうなっているのかというアンケートを行ったとしましょう。その結果、「海の向こうには黄金の島がある」が100%でした。本当は皆知らないのだから、全員一致でもそれが正しい結論になっている可能性が増すことは微塵もありません。しかし、みんなは荷物をまとめて黄金の国を目指して出帆してしまいました...

 6月23日夜(日本時間)に、イギリスでEU離脱の国民投票が始まった直後の為替相場の値動きは、まさに「酒場のアンケートを信じてみんなで出かけた」ような状況でした。開票すら始まっていない段階で、メディアによる投票行動調査や識者のコメントなどでイギリスのEU残留ムードが広がり、ポンド高・各国株高・円安ドル高に相場が動きはじめました。すると、FXトレードに多い動いた方向に付く順張り(じゅんばり)資金が入り、さらに「みんながそう動くなら、確信があるのだろう」、「もしかしたら自分だけ知らない情報があるのかも」、「このままだと乗り遅れてしまう」と追随資金も入ったようで、さらに株高・円安ドル高が進みました。こういった動きは24日朝(日本時間)まで続きました。
しかし、結果は事前の楽観予想を大きく覆すEU離脱でした。

 “酒場のアンケート”のようなきっかけでで動き始めて、たまたま上手く行くこともあるかもしれません。しかし根拠が無い情報であれば、結果は単なる偶然となります。これから7月や9月の米国雇用統計、参議院選挙、日銀会合にFOMC,そして今回のイギリスの国民投票以上ともいえる今年一番のイベントの米大統領選挙が11月にあります。“酒場のアンケート”に踊らされた動きに巻き込まれず、地に足が着いた投資判断をしていく必要がありそうです。

(念のため付言しますと、上記は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。)
eワラント証券 チーフ・オペレーティング・オフィサー 土居雅紹(どい まさつぐ)