リアルなマトリックス 2016/05/25



 先日、電車の隣に駆け込んできて座った50代半ばのスーツの男性がおもむろに指を鼻につっこんでホジホジしはじめたのでかなりビックリ。その直後に、数メートル先の妙齢の女性が首筋をぼりぼり、何かを丸めて爪でポイを繰り返す光景を目にしてこれまたビックリ仰天。その数日後には、満員電車で20代前半の男性があごひげを爪先で一本づつ引き抜いて(おそらく毛根をつけたまま)指ではじいてポイポイ!でした。

 かつては電車の中でのお化粧直しも遠慮されていたはずですが今やその面影もありません。もちろん、オフィスで爪をパチパチ切って他メンバーに迷惑をかける御仁は昔から棲息しているようではありますがw。ところが最近は、上述のように自分が家の中にいるのか外にいるのか意識するというレベルではなく、無意識のうちに何をしているかも分からなくなっている方が急増しているようです。

 なぜそうなのか随所で観察を続けたところ(私の方がかなり物好きなオッサンですが)、一つの共通点を発見しました。スマホです!傍若無人な行動をしている方々は、スマホの画面を凝視して無我夢中にLINEやオンラインゲームにのめり込み、時折ニヤニヤしながら自分だけの仮想空間にどっぷり浸って、周囲が一切目に入らないような幼児的行動となっていたようです。

 実際のところ、この状況は日本だけではなさそうです。会話が無いままスマホをいじり続けるカップルや、グループで食事に行っても無言で各々のスマホをいじる人々が世界中で増殖中とか。人類がスマホという電脳ツールに操られて仮想空間を実際のものと思ってしまうというのは、まさに映画「マトリックス」の世界のようです。

 そうなってくると、今後人々はますます仮想空間だけに存在する架空の「モノ」と実空間にある「モノ」の価値の区別が付かなくなり、架空のモノに抵抗無く大金を払うようになっていくでしょう。マーケティングも選挙も金融投資詐欺も、スマホを通じていかに人々の脳内スペースを占有するかが重要となるはずです。そのような世界で投資パフォーマンスを向上させたいなら、仮想空間に侵食されずに自分を客観視できる状況におく必要がありそうです。まず第一歩としては、1日にスマホにアクセスする時間を自ら1-2時間に制限するとか、電車やバスの中ではスマホに触らないといったことが効果的かも?

(念のため付言しますと、上記は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。)
eワラント証券 チーフ・オペレーティング・オフィサー 土居雅紹(どい まさつぐ)