マニュアル化 2016/04/27



 かつては、「人に迷惑をかけない」ことや「名に恥じない行動をする」ことを美徳としてきた日本でも、大手企業による不正会計や基礎工事の手抜き、規制数値のごまかしが目立ち、性善説が通用しなくなったという団塊世代やバブル世代の嘆きをSNSで目にすることが増えてきました。

 とはいえ、オヤジ世代たちが自慢できるほどかつてはクリーンだったかと言えばそうではありません。総理大臣が関与した “ピーナッツ”が流行語になった巨大贈収賄事件があったり、上場直前の未公開株が多数の政治家にばら撒かれたり、検査官の前で不良債権関係書類を食べてしまう銀行員がいたり、総会屋との癒着で名だたる企業が軒並み処分されたり、中央官庁相手に怪しげなしゃぶしゃぶ接待があったり、料亭の女将が巨大銀行を手玉にとったりと、以前は今より相当根深い問題がありました。

 実際のところは、社会の成熟につれて排気ガスの環境基準が次第に厳しくなってきたように、社会規範の基準が厳しくなってきたということでしょう。それに加えて問題なのは、日本でも社会の多様性が高まって、旧態依然とした組織文化だけを墨守するグループが残る一方で、他人への共感に欠けるグループ、今まで以上に社会規範に厳格なグループ、異文化圏で育った価値観が異なるグループなどが混在していることです。

 そこで重要になってくるのがマニュアル化です。「マニュアル」というと画一的で、人情味が無いという印象を持つかもしれません。しかし、宅配便から税金の支払いまでできる全国展開のコンビニや、日本のどこでも同じ味を作るハンバーガーチェーンなどで、サービスの質を保つには極めてよくできたマニュアルの存在が無視できません。特に、文化的背景が多様になればなるほど、明文化、マニュアル化は必須です。

 そうであれば、一歩進んだ他民族社会のシンガポールなどでタバコのポイ捨てに厳格に罰金が課されるように、日本でもタバコの路上喫煙、自転車の道路交通法違反などに例外なく数万円程度の罰金を課す必要があるでしょう。さらに、一歩進めて金融・企業関係についても、組織的な不正会計や数値偽装の違反の程度を数量化して禁固刑や損害の数倍の懲罰的罰金を課す明文化・マニュアル化された仕組みが必要になってきたのかもしれません。

 ちなみに、投資についてもマニュアルは有効です。今後も立て続けに起こると予想される市場ショックでも、どうなったら何を買うのか・売るのかといった対応を予め手順を決めてマニュアル化しておけば、冷静沈着に行動を起こすことが可能になるはずです。

(念のため付言しますと、上記は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。)
eワラント証券 チーフ・オペレーティング・オフィサー 土居雅紹(どい まさつぐ)