バックナンバー 2016/05/11



 今後の相場展開を予想する時に忘れがちなのが、「自分も市場参加者の一人に過ぎず、市場の雰囲気に飲まれ、感情的な判断をしている可能性がある」ことです。実際のところ、テレビや新聞などのマスコミや、マネー雑誌等の専門メディアだけでなく、ほとんどのストラテジストやアナリストにも同じことがあてはまります。

 結局、記事を書いているのが(ロボット記事を除けば)人間なので、その多数派の感覚が市場で共有される“場の雰囲気”となります。山奥の部屋にこもって統計データを分析しているなら別ですが、同じようにトランプ氏の米大統領選挙での躍進に驚き、、自然災害報道に心を痛め、街に出て好・不況を実感していれば、自然とその時々の雰囲気に各種の判断が影響を受けてしまいます。

 そこで、意外と役に立つのが、過去の似た局面の市場参加者のものの見方を知ることです。投資記録とその時の自分の相場観を手帳にしっかり記録している方なら、それがもっともよい資料となります。といっても多くの方はそれほどマメではないでしょうから、その場合は各メディアや各社ストラテジストのレポートのバックナンバーを利用しましょう。私見ではありますが、相場水準からみると今なら2007年や2008年初め頃が、現在と似たような局面であると思われます。

 まず、当時の相場観がどういうもので、どう変化していったのかを知ると、現在の状況も客観的に見やすくなります。なお、ここで注意しなければいけないのが、「あれは予想が当たった」、「あっちはこの時かなりはずした」などと結果だけを見てしまうことです。

 相場はカオス理論が支配する場所で、実現した結果は可能性の一部でしかありません。例えば、2007年時点で多くが考えていた「アメリカのサブプライムバブルはソフトランディングする」という可能性はそれほど低かったとも言えず、「もし米国政府がリーマンブラザースを破綻させなかったら…」、あるいは「米議会が公的資金での金融機関の救済を一回目に承認していたら…」、株式相場の暴落は相当少なく済んだはずです。逆に、「もし世界恐慌の研究者であったバーナンキ氏がFRB議長で無かったら…」「米国がリーマン・ブラザースに続いてAIGを破綻させていたら…」、かなりの確率で第二の世界恐慌を招く結果になっていたことでしょう。

 いよいよ相場が荒れやすいとされる5月中旬入りです。「難しい相場だなぁ」と思ったら、2007年や2008年頃の市場関係の記事をパラパラめくって、「そうか、こういうシナリオもあり得たのかぁ」と思いを巡らせると、よい投資アイデアが浮かんでくるのでは?

(念のため付言しますと、上記は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。)
eワラント証券 チーフ・オペレーティング・オフィサー 土居雅紹(どい まさつぐ)