ナイスな中国 2016/06/22



 紀元前6世紀に古代中国で孔子が儒学を唱えていた春秋戦国時代、日本は未だに縄文時代でご先祖たちは野山を駆け回っていました。その後、中国で戦乱がある度に多くの渡来人が朝鮮半島経由で日本に集団移住(武力制圧?)して技術を伝えたとも、徐福が秦の始皇帝命を受けて不老不死の薬を探して3000人の若者や技術者とともに日本に渡り戻らなかったとも言われています。

 以降、両国の交流は長いものの、日本から見ると「古代中国の文化・文明は評価しているが、中国王朝の支配を受けたことはない」、中国から見ると「日本は一時期朝貢していたではないか。第一、優れた文明を持つ世界の中心(中華)の自分たちの周辺にいた野蛮人の国に過ぎないし」という意識が根強いように思われます。その中国が急速な経済発展で力と自信をつけ、長年モットーとしてきた養光韜晦(ようこうとうかい、能ある鷹は爪を隠す)戦略を打ち捨て、「中華民族の偉大なる復興」を掲げる習氏が権力基盤を固めるにつれ、東アジアの暴れん坊になってきました。

 しかし、いくら“困った隣人”でも世界第二位の経済・軍事大国となった中国との良好な関係を維持することが日本の国益に資するということは、どんなにタカ派の主張を持った方でも賛同せざるを得ないでしょう。そこで、急速に力をつけた隣人がどうしたら日本にとって「ナイスな中国」になるのかという条件を考えてみました。

◎日本にとってナイスな中国といえる前提条件

  1. 尖閣諸島などで武装漁船・海洋警察・軍艦による挑発を行わない
  2. 知的財産権を保護し、不正コピー商品を作らない・売らない
  3. 他国の経済水域で違法操業を行わない
  4. 大気汚染、海洋汚染をきちんと取り締まる
  5. 外国企業を標的とした打ちこわしデモを政府が組織して行わせない
  6. 南沙諸島で東南アジア諸国への無理な要求を引き下げる
  7. 日本を含めた他国政府、企業へのハッキングを行わない
  8. チベットやウイグルの(独立とは言わないまでも)自治権を認める
  9. 自国民が外国で享受している投資の自由と同等の権利を国内で認める

 もちろん、これらに対して中国目線では「尖閣・チベット・ウイグル・南沙諸島はそもそも古来より中国の領土だ」、「現在の国際法は西洋列強が中国が弱いときに作ったルールなので従わない」、「原発事故を起こした日本に大気汚染・海洋汚染を語る資格は無い」、「知的財産の保護は国情に合わせる」、「ハッキングは米露も行っている」、「海洋権益は大国に譲るべき」、「打ちこわしをされるような国が悪い」といった反論が出てくることでしょう。しかし、領有権に関して「古来より」という論理が世界のどこでもありえないことや、知的財産の侵害や違法操業が問題であることなども、世界一のスーパーコンピューターを開発できるまでになった国なので、十分わかった上で欧米中心の世界秩序の世界秩序に挑戦している面もありそうです。

 投資という側面で考えるなら、日本を含めた隣国にとって中国がナイスで尊敬される大国となって平和的な台頭を成し遂げるか、レッドチーム対ブルーチームの対立が世界規模で激化していくか、中国がソ連のように崩壊・分裂するとみるかで投資対象企業と投資対象国が相当異なってきます。あなたはどうみます?

(念のため付言しますと、上記は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。)
eワラント証券 チーフ・オペレーティング・オフィサー 土居雅紹(どい まさつぐ)